Interview :1st Mini Album 「This is a PEN.」

「ディズイズアペン」ー思わず聞き返しそうになる、けれど、一度聞いたら忘れられないバンド名。
活動開始とほぼ同時に発信されたのが、1stミニアルバム『This is a PEN.』とあって、
彼らの胸に秘めたリアルな「声」を、まだ知らない人も多いかもしれない。
今回は、CDリリースまでの制作秘話を始め、素の部分も垣間見られるような、他では絶対に聞けない「お互いのこと」など、約2時間に渡るロングインタビューをお届けする。

 

 

昨年12月にリリースされたディスペン初のミニアルバム「This is a PEN.」は、全曲リーダーである赤岩雅紀さんの作曲ですよね?

赤岩雅紀(以下・雅)「そうですね元々、僕がストックしていた曲があって、そこから掘り出して来たというか…(笑)」

「この曲はディスペンでやったら面白いかも」と考えた時に、どうやってセレクトしていったんですか?

「最初はボーカリストがいなかったので、ギターのアレンジを面白くして、たかちゃん(ヲタファ)をフィーチャー出来るインスト色の強い曲を、と考えてましたね。そこで、一番最初に出て来たのが『上昇トライアングル』。僕、作曲者だからあんまり分からなくて(笑)、曲選びは結構たかちゃんのインスピレーションに頼ったかな。『未読』も、たかちゃんにコレ、いいね!って言われてやることになったし。そこから、女性ボーカルが歌うことになったらこの曲!とか、そんな選び方をしてました。僕自身は、結果どの曲をやることになっても、僕のドラムとピアノ、そしてヲタファのギターが入れば、絶対ディスペンのサウンドになる!という確信があったので、曲のジャンル的には縛られなかったですね」

ヲタファ(以下・ヲ)「そうですね。まず『上昇〜』を聴いて、この曲が自分たちふたりのキーになる曲なのかなと感じたので、そこを基準として、あとの曲を決めていきました」

◉ちなみに、女性ボーカルにしようと思っていたのはどの曲ですか?

「5曲目の『パステル・ペンシル』ですね」

その後、KEITOさんとの出会いがあって、男性ボーカルに決まったわけですが、選んだ曲を変更しようとは考えなかった?

「本来はちゃんと考えるべきだったのかもしれないけど(笑)。ケイティ(KEITO)自身歌唱力があったし、彼ならどの曲も彼自身のモノに出来るだろう、そんなボーカリストと出会えた、と感じていたので、変える必要がなかったって言った方が正解かな」

「そうだね」

KEITO(以下・K「実は、俺もそれ、聞いてみたいと思ってました。うん、そっかぁ、そうだったのかぁ(笑)」

雅「ただ、たかちゃんにすら聴かせてなくてお蔵入りになるところだった『The Way』を選んだのはケイティ。え?これ、微妙じゃない?って言ったんだけど…(笑)

K「いや、この曲だ!これだ!って、ピンと来ました。このジャンルは攻めてないっすって。それと『恋はテンダー』も僕が選びましたね」

雅「候補曲の中にはあったけどね

「色々やっていく中で、最後の曲だけが、どうしても決まらなかったんです。そこに『The Way』をはめたら、ピッタリ来たんだよね」

客観的にディスペンを見られる人が、あとから入って来たと。

雅・ヲ「そうですね」

ひとまず曲が決まり、次、歌詞となって、4曲はKEITOさん、1曲はヲタファさんが書かれていますよね。なぜ、ふたりに?

K「何かを計画したうえでやったというわけじゃなくって、制作の中で、歌詞はケイティ書いて〜、おっ!はい!よっしゃ!!みたいな(笑)、そういうノリが大切っていうか」

「うん、自然な流れからだよね」

K「今までもバンド活動の中で、歌詞を書いたことはあったんですが、実はふたりと会って、話して、初めて気づいたことがあって…。それまで書いていた歌詞って、あんまり普通じゃなかったんだなってことに気づいて…。だから今回は、挑戦するぞって気持ちを持って、“聴き手に分かりやすい歌詞”というのを意識して書きました」

ヲ「元々『上昇〜』は僕が書いた仮詞があったんです。でも、KEITOくんがボーカルに決まって、彼が彼自身の言葉で歌ってくれた方がいいと思っていた矢先に、歌詞を持って来てくれて。それが今のカタチになってるよね。あと『未読』は僕の歌詞なんですが、最初に雅紀くんから曲を聴かされた時に、ものすごく悲しい情景が浮かんで、ああいった内容になって…。他はKEITOくんの言葉で歌ってもらってるけど、この曲も分け隔てなく歌ってもらえて、うれしかったです(笑)

雅「僕の書いた仮詞も『パステル〜』にあったしね

K「自分の歌詞が初めてCDになるということで、今までにはないぐらい何回も書き直して。ここまで書き直したのは過去にないですね!」

それは他のメンバーからダメ出しがあった?それとも自分の中で納得がいかなくて、ということですか?

K「いやもう、自分の中でですね。それは今までだったら、OKの域なんですけど、やっぱり途中では、まだ前の僕なんですよ。挑戦はしてるけど、まだ行ききってないっていうか。だから、時間ギリギリまで使って、レコーディング当日の朝まで歌詞を変更してました」

「『The Way』は前日書いてた歌詞と、当日見た歌詞が全部違ってたよね。彼なりに妥協なく自分の世界を出そうとしてて、ハングリーな人だなって思いました。その姿を見て、“あ、3人で一緒にやってるんだ”って実感もできたし」

歌詞に対して、ファンからの反応ってどうでした?

K「分かりやすい!って言われました(笑)。ヲタファさんの歌詞と僕が書いた歌詞、それぞれ違いもハッキリしているし、狙って意図したところを、ちゃんと分かってもらえてました。それだけでも、今回歌詞で僕が挑戦したことは、新たなステージにちょっと触れることが出来たのかなって実感出来て、うれしかったですね」

制作面で意識して行なっていたことってありましたか?

「僕、自分で何でも決めたがる性格なんですが、今回は歌詞をケイティに任せたり、ギターのアレンジをたかちゃんに任せるなど、なるべくふたりにお願いするようにしてました。自分自身で完結させるのは安心だけど、面白みも発見もないですしね」

結果、どうでしたか?

「いやぁ、もう、すごい良かった!やっぱり、自分にないものをふたりが持ってるから、刺激を受けましたね。メンバーへの信頼が強くなった」

では、ここで、せっかくの機会なんで、今回の制作を通してそれぞれメンバーの良かった、改めて発見した点を本人を前にして発表してみましょう!

3「えー?(笑)」

まずはリーダーの雅紀さんから。

「えーっと、じゃあ、真面目に(笑)。まずケイティに関しては、こういったお化粧系バンドだと普通出て来ないような、歌詞を作ってくれましたね。たとえば『The Way』は、歌詞の最後ってカッコいい言葉を選びそうだけど、ケイティは“飛びたいよ”で締めた。それが新鮮でしたね。『パステル〜』も会話する的な内容だったりして面白いな、と 。たかちゃんは、音楽ってカチッとした理論があったりする中で、飛び道具的な面白いアレンジを数多く出してくれて。『パステル〜』では、ギターを効果音的に入れたり、『上昇〜』も『The Way』も実験的なものが含まれていたりと、全部が全部ヲタファなんだけど、メロディの良さを際立たせるギターをやってくれたりと、作曲者としてはこのうえない満足感でしたね。僕が普通に考えていったら、絶対に出ないところ。そこがすごい」

ヲ・K「(笑)」

なるほど。ヲタファさんの飛び道具って、一部教えてもらえますか?

「『パステル〜』を聴いた時に、どこか懐かしい雰囲気を持ってる曲だなと思ってて。3人の冒険が始まるって感じで、自分の中では、聴いてる人がワクワクするようなギターを入れるというコンセプトで。2番の“コインを集めて”って歌詞のところでは、某ゲームのキャラクターがコインを集めているようなアプローチにしてます」

そのあとに続く地下BGM系の「ダダダダダダ、ダダダダダダ」音も!

「そうですね(笑)」

雅「そうそう!そこもたかちゃんが弾いてます。よく聴くと…なんだよね。ニクいところだよね、そこは(笑)

「あとは2番のサビに入る一番盛り上がるところで、わざとリズムを崩してて。そこは某キャラクターが障害物に当たったってイメージで(笑)」

では、ヲタファさんがふたりに対して発見したところは?

「雅紀くんとは以前バンドをやっていたこともあるし、友人としても長い付き合いがあるんだけど、今回、改めてストイックな人だなと感じましたね。自分も自分なりにストイックだと思ってたんだけど、比較にならないぐらい(笑)。すごく刺激されましたね。すげえヤツだ!と思いました」

「(笑)」

◉KEITOさんは?

「僕と雅紀くんって、正直誰も入って来れないような独特な雰囲気があるんですね。実際、KEITOくんにボーカルが決まるまで、僕らは多くのボーカリストに会ったし、オーディションを繰り返してた。ボーカリストを探すって、こんなにも大変なのかと諦めかけたこともあったんですね。でもね、KEITOくんはね、スッと入って来ちゃったんだよね。僕らの中に普通に。それがすっごく自然で」

「うんうん(笑)」

「倒れかけてた船の帆がまた起き上がったのは、彼のおかげ。歌がうまいのはもちろんなんだけど、自分のレコーディングとは関係ない制作の時も頻繁に顔を出してくれたりして、見えないところで努力している姿が伝わりました」

K「照れますね(笑)」

それでは最後、KEITOさん。

K「まずその前に言いたいことがありまして…」

どうぞ、どうぞ!

K前のバンドを離れて、まぁ、それまでもバンドをやってて楽しいという思いをしたことがなくて…。だから、真剣に、バンド組まないかって言われるたびに、引き気味になるキャラだったんです、1年以上。そんな中、ふたりに最初会った時も、ぶっちゃけバンドに対しては自信なかったんですが、コンピレーションアルバムを作る的な意図を聞いて、うん、自信はなかったけど…一回でいいから記録を残したいと思ったんですね。CDを出してみたい、自分の声で作品をちゃんと作ってみたいという思いが湧いて来て。そこから、ちょっとライヴに出ることになったんで、その時、歌ってーって気軽に言われて、ああ、いいっすよって感じの流れが続いて、今、ここに居ます(笑)。“バンドやろうぜ!”ってことで始めたわけじゃなかったし、自然だったのかも。ふたりの中にいると居心地がいいし(笑)。それまで胸につかえてたものが、ふたりと会って外れた気がする」

本当は、必然的な流れだったのかもしれませんね。

K「そうですね。制作面の話で言うと、僕が行き詰まると音程やメロディについては雅紀さんが支えてくれて。あと、さっき話したように歌詞をアホみたいに変えてるわけですね。そんな時のアイディアは90%以上、ヲタファさんによるものですね。『パステル〜』のコインの歌詞も、『恋はテンダー』にしてもストーリーの出口を教えてくれたりと、結構重要なスパイスをもらってます。ふたりは、押さえつけることをしないで、間違ってるところは気づかせてくれる。いい意味で、おんぶに抱っこ状態を若干感じてます(笑)。雅紀さんは社交性もすごいし、バンドの進行すべて管理してくれてるから、困ったなって時はヲタファさんとふたりして頼ってます。絶対的に、居ないと成り立たない存在ですよね。ヲタファさんに関しては、雅紀さんとは違うアイディアがすごい。曲って編曲によって変わるっていうじゃないですか。でも、ヲタファさんは曲ってより、バンドとしてのアレンジを詰めていって出してくれる。まぁ、長くなりましたが、結局ひとことで言うと、ふたりの間で居心地がいいなと(笑)。だから、その分、自分も頑張らないといけないなと思ってます」

なるほど(笑)。そんな3人がこのミニアルバムの制作で、バンドとして成功したなと思っているところは?

「うーん、成功したという点では今回セルフプロデュースにこだわって、ミックスとかマスタリングも自分たちで全部やれたことですかね。あと、ゴールを決めて、全員が合致して走りきれたってとこが成功した部分ですね。元々、ボーカリストが加入する前から(昨年の)12月21日にCDを発売するってことは、たかちゃんと決めていたので、ボーカリストを見つけることも含めて、自分らで手繰り寄せられるものはすべて手繰り寄せたって感じでした。最初はミックス・マスタリングは外部に委託するつもりでいたんですが、(現プロデューサーから)アドバイスをいただいて、自分らで全部やってみなよと言葉をもらい、正直怖かったけど、他人任せではなくゴールまで明確に、自分らだけで最後まで走ってこれたのは、やっぱり成功だったですね」

歌って終わり、録って終わりではなく。

「そうですね、CDのジャケットのアイディアも3人で出しましたし、デザイナーさんや業者さんを見つけたりとかも自分たちで(笑)。出来上がってくるまで、ドキドキでした」

「自分たちの手作り感というか、ディスペンは音楽以外の部分でも、多くの人に共感を持ってもらいたいという気持ちは常にありますしね。それは、ライヴ自体やグッズ、あとライヴで配布する瓦版とかも同じですね」

K「瓦版!ヲタファさん書き下ろし4コマ漫画もありますし。いやぁ、今後も期待できる作品でございますねっ(笑)」

「瓦版は今後もライヴの物販スペースで無料配布してますから、みなさん、持って行ってくださいね!」

それでは、ロングインタビューの最後、ひとことずつお願いします。

雅「ライヴといえば今後は、アコースティックライヴとかも出来たらなと思ってます。あと、ファンのみなさんと会える場所が、ライヴハウスで演奏するだけじゃ、なんだか堅苦しいでしょ?なので、僕らと一緒に何か出来るようなイベントも企画したいなと考えてます。待っててくださいね」

「そうですね、今、僕たちは新曲を制作中です。次のアルバムは今回のミニアルバムとはまた違って、より大きくなった僕らの姿を見てもらえると思いますので、楽しみにしていてください」

K「1stミニアルバムが発売されたことによって、正直、すごい責任感みたいなものを感じています。次の作品には、そういうものが必然的に入っているはず。次も期待しててください」

「あ、僕、そういえばブログでクイズを出していたので、その正解をここで発表しようかな(笑)。“ケイティがコレ喉にいいんですよと口にしたものは何だったか”って書いていたのですが…」

え?(笑)。あ、はい、それって何だったんですか?

「それはなんと、彼はファミチキを食べていたんですね。ファミチキの油が喉にいいらしいです!」

K「えええ!? 今、そこピックアップする必要ありました?ね、ヲタファさん!」

「ないよね(笑)」

3「(爆笑)」

最後は楽しい笑いをありがとうございました!

 

 

 

spacer